『おっかさまの人生料理』八海山の発展を支えた方の物語を拝読しました

八海山。日本酒を飲む方なら一度は嗜んだことのあるお酒ではないでしょうか。

その創業年は意外に浅く、大正11年 (1922年) 。2代目(先代)の南雲和雄さんが、醸造量260石から100倍の規模にまで成長させ、日本中で「八海山」のお酒を楽しめるようなりました。

その和雄さんの奥方・南雲仁さんこそが、実は八海山の発展を支えたといいます。「おっかさん」と呼ばれ蔵人や地元の人々から慕われた仁さんの、八海山と歩んできた半生が綴られた本『おっかさまの人生料理』(森田洋編著/デナリパブリッシング株式会社発行/ぶんしん出版)を、ぶんしん出版様より献本いただきました。

南雲仁さんの半生をつづった「おっかさまの人生料理」表紙

印象的だったのは、魚沼の食材を使った手料理を、酒蔵の来客たちへ、心から喜んでふるまっている仁さんのお姿です。

酒蔵には来客が多いらしく、そのお客さまを接待することは、自社の酒の魅力を伝えて売上にも繋げる大事な機会。一般的に料亭などで接客する酒蔵が多い中、仁さんは、酒の味を引き立てる地元食材を使った手料理をふるまうことで、土地と酒の魅力を100%伝えることと、経費削減、この2つの利点を八海山にもたらしたのだそう。

仁さんが八海山に嫁いだのは戦後間もない頃。そんな時代に、男ばかりの社会と言われる酒蔵の中で、女ながらに確固たる”居場所”をつくったその姿に、女性としての強さ、魅力、可能性を感じました。女性の社会進出などが世間でうたわれる何年も前から、女性は、さまざまなシーンや立場で周囲の環境や社会に貢献してきたのですね。

書籍の中では、当時の写真もたくさん使われ、情景がまるで目の前に浮かんでくるよう。

魚沼ならではの新鮮な食材を使った「おっかさん」の手づくり料理が、巻末カラーで掲載されているのもこの書籍の魅力。いずれもが、仁さんの魚沼への愛情とおもてなしの心が映った、あたたかくも贅沢な、魅力あふれる料理です。

八海醸造は、魚沼の地元の食材でつくられた料理などが楽しめる『魚沼の里』をプロデュースしています。その魚沼の素晴らしさを大切にしたい、という想いの出発点が「おっかさん」にあるような気がしました。

四季折々の魚沼や島崎の地元料理